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ご妊娠された方へ

妊娠中は、お腹の赤ちゃんに影響を及ぼす
感染症もあるため、
妊婦さんはもちろん、
そばにいるご家族は妊婦さんに感染させないよう
予防が必要です。

母子感染とは?

妊娠中に母体が感染症にかかることで、赤ちゃんにも感染してしまうことを母子感染といます。母子感染には、3つの感染経路があります。

胎内感染

赤ちゃんがお腹にいる間に感染

産道感染

分娩時、赤ちゃんが産道を通ることで感染

母乳感染

出産後、赤ちゃんが母乳を飲む際に感染

妊婦さんは、上記のような母子感染を防ぐためにも、手洗いやうがい、手指消毒など感染予防が必要です。元々ウイルスを保持している人もいれば、妊娠中に感染する人もいます。妊娠中は接種することのできないワクチンもあるため、妊婦さんの周りにいるご家族などがワクチン接種して予防することも有効です。

妊娠中に気をつけたい感染症

妊娠中に注意が必要な感染症はいくつかあります。以下は、赤ちゃんに影響を及ぼす感染症です。

風疹

風疹は急性感染症です。特に、ワクチン未接種の成人男性に流行することが多く、妊娠中の感染には気を付ける必要があります。主な症状として、発熱や発疹、リンパ節の腫れ、関節痛などが現れます。小児が感染しても軽症の場合が多いですが、大人が感染すると症状が酷くなることがあります。
妊娠中に感染すると、生まれてくるお子様が先天性風疹症候群(CRS)になることがあります。この場合、胎児が感染し、白内障や難聴、心疾患などのあるお子様が生まれるリスクが高くなります。その確率は、妊娠4週までの感染で約50%、妊娠8週までの感染で約35%に先天性風疹症候群を発症するとされています。
風疹の予防法は、ワクチン接種です。妊娠を希望する女性、またそのパートナーは風疹の抗体検査を受け、抗体がない場合にはワクチン接種を推奨しています。また、人混みやお子様が多い場所に出かけるのを避けることも大切です。妊娠中はワクチン接種ができないため、不要不急の外出を避けるなど感染予防が必要です。
風疹ワクチン接種後2か月は避妊が必要ですが、接種直後の妊娠で先天性風疹症候群を発症した報告はこれまでにはありません。産後は授乳中でもワクチン接種が可能ですので、妊娠初期に風疹抗体が低いと指摘された方は産後速やかに接種されることをお勧めします。

トキソプラズマ

レアステーキなど十分に加熱されていない肉を食べたり、猫の糞尿、土壌などに存在する原虫が経口的に初感染することにより妊娠中でも寄生虫血症を起こします。ただし、人から人への感染はありません。ほとんどの人が感染しても無症状です。症状がある場合は、発熱やリンパ節の腫れ、筋肉痛程度です。妊娠中に感染してもほとんどの場合は無症状です。妊婦さんのうち2~10%の人は抗体を持っており、その場合感染しても赤ちゃんに感染することはありません。抗体を持っていない初感染の妊婦さんのうち約30%は胎盤経由で感染すると言われています。特に、妊娠初期に母子感染すると影響が大きく、先天性トキソプラズマ感染症を発症するのは約15%とされています。先天性トキソプラズマ感染症になると、お腹の中で赤ちゃんが死亡したり、流産を引き起こしたりします。その他、脳や眼、肝臓に障害が起こる可能性があるため注意が必要です。
万が一妊娠中の感染と診断された場合は、スピラマイシンを内服することで母子感染を予防します。現在の日本の衛生状態では食肉や室内飼いの猫によるトキソプラズマ感染症を過度に心配する必要はありませんが、ご心配な方は血液検査を行うことで抗体検査が可能です。気になる場合は、医師にご相談ください。

トキソプラズマの感染予防

  • 食肉は十分に加熱する、生肉を食べるのを控える
  • 野菜や果物はよく洗って使用する、土をよく落とす
  • ガーデニングなど土を触った後は手をよく洗う
  • 猫のお世話、糞尿の処理はなるべく家族に依頼する、妊娠中に新たな猫を飼わない
  • 感染リスクのある海外への渡航を控える など

HIV/エイズ

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで発症します。血液や精液、母乳、膣分泌液など体液が体内に侵入して感染します。
妊娠初期のスクリーニング検査で調べることができます。HIVに感染すると、徐々に免疫機能が低下して様々な疾患になりやすくなります。生命予後は飛躍的に長くなりましたが、根治は困難とされ、治療は生涯に渡って継続が必要です。母乳による母子感染、性行為での感染、輸血時の感染が感染経路となり感染します。
このため、それぞれの感染経路に対策が必要になります。妊娠中の場合、抗ウイルス薬を内服します。出産は帝王切開で行うことがほとんどです。
赤ちゃんには母乳育児をせず、完全ミルク育児を行うことで赤ちゃんへの感染を防ぎます。

HTLV-1

HTLV-1約95%の人は発症しませんが、数%の人が成人T細胞白血病(adult T cell leukemia:ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy:HAM)、HTLV-1関連ブドウ膜炎(HTLV-1 associated uveitis:HU)を発症します。感染経路は、母子感染(母乳)、性行為感染、輸血時の感染です。
無症状のままHTLV-1ウイルスを持続的に保有している人のことを「HTLV-1キャリア」とよびます。
HTLV-1キャリアの場合、赤ちゃんの栄養方法は以下の3種類です。

  1. 完全ミルク(完全人工栄養)
  2. 短期間の母乳栄養
  3. 凍結母乳栄養

上記3種類がありますが、基本的に完全ミルク(完全人工栄養)で行うことが推奨されています。

クラミジア

クラミジア・トラコマティスという細菌に感染して引き起こる疾患がクラミジア感染症です。主に、性行為で感染します。特に、女性では子宮頸管炎や骨盤腹膜炎を引き起こすことがあります。
妊婦さんが子宮頸管炎になると、産道感染によって赤ちゃんに新生児クラミジア感染症を発症させる可能性があります。感染した赤ちゃんは、結膜炎や肺炎の症状が出ることがあります。
クラミジア検査は、妊婦健診で妊娠30週頃までに行います。検査の結果、陽性だった場合は、産道感染を防ぐために抗菌薬を内服し、内服後3週間程経過してから陰性となったことを確認する検査を行います。この場合、妊婦さんだけでなくパートナーも一緒に検査及び治療を行う必要があります。もし赤ちゃんがクラミジアに感染した場合、生後1週間頃に結膜炎、生後1カ月頃に肺炎などを起こすことがあります。
クラミジア感染症にかかる可能性があることを小児科医に伝えることも重要で、小児科医や眼科を受診する場合は、妊娠中にクラミジアに感染したことを必ず伝えるようにしましょう。

梅毒

梅毒トレポネーマという細菌に感染して起こる性感染症です。主に、性行為によって、皮膚の小さい傷や粘膜から体内に侵入して感染します。
妊婦さんが梅毒に感染すると、胎盤経由で母子感染してしまうことがあります。無症状梅毒(潜伏梅毒)であっても、赤ちゃんに感染することがあるため注意が必要です。梅毒の治療をせずに妊娠すると、妊娠中の初期梅毒では約40%の胎児が死亡すると報告があります。また、妊娠前4年の間に梅毒感染した場合、約80%が母子感染し、先天梅毒の症状が現れると言われています。先天梅毒の主な症状は、黄疸や腹水、鼻炎、リンパ節の腫れ、肝臓腫大、生後の水疱など皮膚湿疹が現れます。
梅毒のスクリーニング検査は、妊娠初期に実施します。検査結果陽性だった場合は、精密検査及び確定検査を行います。妊婦さんが梅毒に感染した場合は、妊婦さんだけでなく、同時にパートナーも治療を行う必要があります。主に、数週間から数か月間は抗菌薬の内服治療を行います。

B型肝炎

血液や体液を介してB型肝炎ウイルスに感染して起こる肝臓疾患です。母子感染の主な感染経路は、主に分娩時の産道感染ですが、少数ながら胎内感染が成立する場合もあるとされます。妊娠初期に検査を行います。HBs抗原検査の結果、陽性と診断された場合はHBVキャリアとなります。
HBVワクチンは、妊娠中でも接種できます。このため、妊娠中は抗体検査とワクチン接種が大切になります。HBVキャリアとなった妊婦のパートナーに免疫がない場合、ワクチン接種が必要です。また、産後は母乳感染の心配はなく、母乳育児を希望している場合はそのまま母乳栄養で育児が可能です。なお、母子感染予防目的のワクチン接種は、健康保険適用対象となります。

C型肝炎

血液を介してC型肝炎ウイルスに感染して起こる肝臓疾患です。主に、子宮内感染や産道感染が原因と考えられます。無症状の場合もありますが、発熱や全身の倦怠感、黄疸などの症状が現れます。C型肝炎のワクチンは妊娠中は接種できません。このため、抗体検査結果が陽性だった場合は、早めの健康管理が必要です。母子感染リスクがあるため、必要に応じて治療を行います。また、出産方法は特に帝王切開をする必要はなく、母子感染のリスクについてご説明しながら、妊婦ご本人やご家族の意向を尊重しながら検討していきます。授乳は母乳育児が可能ですが、乳頭に傷があるなど出血がある場合は一時的に授乳を中止することがあります。

B群溶血性レンサ球菌

B群溶血性レンサ球菌に感染して発症します。B群溶血性レンサ球菌は、妊婦の10-30%で膣内や直腸に存在する常在菌ですが、赤ちゃんに感染すると深刻な状態を引き起こすことがあります。
B群溶血性レンサ球菌は、生後6日までに起こる早発型と、生後1週間から89日までに起こる遅発型、生後3カ月以降に起こる超遅発型とに区別されます。分娩時に赤ちゃんが産道を通る際に感染する場合を早発型とされます。これを産道感染と言いますが、稀に胎内感染を起こすこともあります。遅発型は、産後育児の母乳から感染するとされています。
早発型では発熱や呼吸器症状が現れ、重症化すると髄膜炎や敗血症に進行することがあります。B群溶血性レンサ球菌の感染を予防するためには、妊娠35~37週に保菌検査を行い、保菌が確認された場合はペニシリン系抗菌薬投与を行います。生後間もない赤ちゃんが感染してしまった場合、以下のような症状がみられます。

  • どことなく元気がない
  • 肌の色があまり良くない
  • 母乳やミルクをあまり飲まない
  • 発熱や低体温など体温が安定しない 
    など

上記のような症状がある場合やぐずって機嫌が悪い場合は、些細なことでも速やかに小児科に相談してください。

水痘(水ぼうそう)

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染して引き起こるのが水痘(水ぼうそう)です。感染すると、主に発熱や倦怠感、発疹、皮膚の痒みなどの症状が現れます。感染力が強いのが特長で、飛沫感染、接触感染、空気感染によって感染します。お子様の場合は、軽症で済み自然治癒していきますが、成人や妊婦が感染すると強い症状を起こすことがあります。
感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は、約2週間とされます。若年日本人の約90%が水痘の抗体を保持していると推測されているので過度な心配は不要ですが、稀に妊娠中に感染すると高熱など重度の症状が現れ、肺炎などを併発することがあります。
また、妊婦さんが感染すると胎盤経由で赤ちゃんに母子感染が起こることがあります。妊娠中期に母子感染してしまうと1%程度の赤ちゃんに手足の低形成や中枢神経の異常、目の異常、皮膚の萎縮など深刻な症状を招いてしまう可能性があります。
また、分娩直前の感染では、新生児が重症な水痘を発症する危険があります。
水痘ワクチン接種後は2か月間の避妊が必要ですが、接種直後に妊娠が判明した場合でも先天性水痘症候群を発症したという報告はありません。水痘ワクチンは授乳中でも接種可能です。

水痘の感染予防

  • 人混みの多い場所に行かない
  • 手洗いうがい、消毒の徹底
  • 発疹が出ている人と接触しない
  • パートナーにワクチン接種をしてもらう
  • 出産後すぐにワクチンを接種する など

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)による性感染症です。無症状である場合もありますが、一度感染してしまうと、知覚神経に潜み、いずれ再発することがあります。
主な症状は、性器やその周囲にいくつもの水疱が出現し、強い痛みが生じます。また、リンパ節の腫れや発熱が起こることもあります。
妊婦さんが感染すると、分娩時の産道感染で赤ちゃんに感染することがあります。妊娠中に初感染の場合は抗ウイルス薬による治療をします。初感染の場合、帝王切開で出産することがありますが、再感染の場合は産道感染のリスクが低いため経腟分娩が可能な場合もあります。赤ちゃんに感染してしまうと、手や口などに水疱症状がみられる「限局型」での発症もありますが、脳炎・髄膜炎症状により多くの後遺症を残す「中枢型」、皮膚の症状はなく肝不全や呼吸障害など多臓器不全を起こし死亡率29%とされる「全身型」が起こることもあります。

サイトメガロウイルス

サイトメガロウイルスの感染が原因で起こる感染症です。ほとんどの人が幼児期に感染し、無症状のまま抗体を保持することが多いとされています。約70%の妊婦が抗体を有しています。
妊娠中の初感染の場合、胎盤を経由して赤ちゃんに感染することがあります。赤ちゃんがサイトメガロウイルスに感染すると、脳室拡大や低体重、肝機能異常、難聴など様々な疾患や症状が起こります。また、誕生時は無症状でも成長に伴って精神発達の遅れや難聴など後遺症が現れることがあるため注意が必要です。また、稀ではありますが妊娠前に感染したことのある方でも、妊娠中に再感染や再活性化により胎児感染を起こす可能性があり、ほかの感染症とは異なるサイトメガロウイルスの特徴です。

感染予防で注意すべき点

  • お子様の食べ残しを食べたり、同じスプーンや箸を使わない
  • 食器の使いまわしをしない
  • お子様の尿や便に直接触らない、触ってしまった場合は手をしっかりと洗う など

サイトメガロウイルスは赤ちゃんや小さいお子様の尿や唾液に多く検出されます。このため、直接触れないよう気を付ける必要があります。

りんご病(伝染性紅斑、
パルボウイルスB19感染症)

ヒトパルボウイルスB19に感染して起こる感染症です。
別称「りんご病」と呼ばれるように、顔や身体が赤くなります。大人では無症状であることも多く、小児では頬が赤くなるのが特徴で、数年おきに流行を繰り返す感染症です。
妊娠初期に感染すると流産の可能性があり、生後間もない赤ちゃんが感染すると貧血になります。稀に重度の胎児水腫となることがあるため注意が必要です。また、根治できる治療法が確立されていないため、妊娠中はお子様と接することが多い方は接触を避けてください。

妊娠初期に出血するのは大丈夫?

妊娠中に出血があると、お腹の赤ちゃんに何かあったのでは?と不安になることも多いと思います。妊娠初期の出血はよくみられる症状です。一般的に、妊娠初期に出血しても出産まで無事に妊娠を継続できるケースが多くあります。
普段の不正出血と妊娠中の不正出血は、その原因や対処の仕方が異なります。

妊娠初期の出血は
多くの女性が経験している

妊婦さんのうち約3割の方が妊娠初期の出血を経験しています。その多くが無事に出産をしています。このため、妊娠初期の出血のほとんどは大きな心配はありません。

妊娠初期の出血で考えられる
その他の原因

妊娠初期の出血では、妊娠に関連した出血なのか、妊娠に全く関連しない出血なのかを区別します。また、出血の時期についても原因が異なります。

絨毛膜下出血

胎嚢と子宮筋層の間にできる血種とされていますが、原因は不明で胎盤が形成される過程でできる病態と考えられます。報告によっては妊娠の数%~20%程度で起こるとされ、長期間消失せずに持続する場合や、血種が大きい場合、炎症を合併する場合は、流産や早産につながる可能性もあります。

異所性妊娠(子宮外妊娠)

受精卵が本来着床すべき子宮腔内ではない場所に着床してしまうことです。卵巣や卵管、頸管などに着床してしまいます。子宮以外に着床し、妊娠しているため生理はきませんが、安定した胎盤を形成できないため不正出血が続くことがあります。生理不順だった場合は、異常に気付かないケースもあります。異所性妊娠の起こる確率は、全妊娠の約2%とされます。

切迫流産

妊娠22週未満に腹痛や出血がある場合、切迫流産が疑われます。子宮内感染や子宮頸管無力症など原因は様々ですが、約90%の方が妊娠を継続できています。流産は、妊娠12週までは早期流産、12~22週までを後期流産と区別されます。

胞状奇胎

受精卵の遺伝子異常による病態です。母体の症状は、つわり症状や、出血、腹痛で発覚することがあります。胞状と言うように房のように形状が変化します。正常な妊娠ではなく、継続することは困難なため、子宮内容除去術を行う必要があります。

子宮頸部びらん

子宮の入り口である子宮腟部は、皮膚・外陰部・腟と同様に扁平上皮に覆われています。一方、子宮腟部より奥の方は円柱上皮で覆われています。性成熟期などでエストロゲン(女性ホルモン)が増えて活発になり、子宮頸管内側の円柱上皮が外側に張ったように向いた状態を子宮頸部びらんと言います。閉経前の女性は誰でもなり得る生理的変化なので、病気ではありません。ただし、性交渉など物理的刺激に弱く、出血が起こることがあります。

子宮頸管ポリープ

子宮頸部に良性の腫瘍ができた状態です。ポリープは物理的な刺激で出血することがあります。

妊娠初期に出血した場合に
確認すべきチェックポイント

妊娠によるおりものの変化と妊娠初期の出血とは異なります。おりものの変化とは、量が増える、臭いが少し強くなる、サラサラなおりものになる程度で、以下に挙げる変化がある場合は、速やかに医師に相談してください。

出血の色

鮮やかな赤い出血がある場合は、注意が必要です。

出血の量と期間

着床時期の出血の場合は、数日程度でで治まることが多く、量も少量とされます。月経時よりも量が多く、長期間続く出血は注意が必要な場合があります。

腹痛の有無と程度

腹痛の有無と程度妊娠初期には、お腹の張り感や多少の痛みがあるのは一般的です。ただし、出血に加えて強い痛みが起こる場合は、緊急を要する疾患が疑われるため、速やかに受診してください。その他、発熱や下痢症状が出血と同時に現れる場合も、早めに受診してください。

妊娠初期に関する
よくある質問

妊娠初期に出血しなくても、
流産のリスクはありますか?

妊娠初期に出血しない場合でも、約15%の方に流産があったとされます。妊娠12週未満の早期流産には自覚症状がほとんどない場合もあります。

妊娠初期に性行為や
自慰行為をして出血した場合、大丈夫ですか?

妊娠初期の出血には、上記の複数の原因が考えられます。いずれも、妊娠中は腟の血流が豊富のため、物理的な刺激を受けることで出血しやすい状態と言えます。出血が起きたら、すぐに性行為や自慰行為を中止してください。安静にし、出血が治まるようであれば受診してください。出血が止まらない場合や、増える一方の場合は速やかに受診してください。

どんな時に受診したら
良いでしょうか?

以下のような症状がある場合は、
受診してください。

  • 出血がある
  • お腹が張る、痛みが伴う
  • つわりの症状が酷く、水分摂取も難しい
  • 破水した、尿と見分けが付かない場合
  • 胎動が急になくなった、または異常に増えた
  • おりものの変化、異常が気になる場合 など

妊娠初期に出血が起きた場合は
落ち着いて医師に相談しましょう

妊娠初期の出血は、不安や心配が絶えません。妊娠初期は出血しやすく、ほとんどの方が出産まで妊娠を継続できていますが、妊婦さんが安心して過ごせるよう、少しでも異変がある場合は早めに受診してください。

出生前検査

当院で行うことのできる出生前検査は、NIPT、妊娠初期超音波、コンバインド検査、クアトロテスト、羊水染色体検査です。出生前検査には、経験を積んだスタッフによる個別のカウンセリングを行ったうえでの、検査の選択、実施が重要です。当院では、日本産科婦人科遺伝診療学会の周産期認定、FMF(イギリスThe Fetal Medicine Foundation)のNT資格を取得した院長が、診察を担当いたします。

主な出生前検査の種類

  NIPT 初期超音波検査 コンバインド検査 初期超音波検査

コンバインド検査
クアトロテスト
検査の位置づけ 非確定検査
実施時期 10週0日~ 11週0日~13週6日
(CRL45~84mm)
11週0日~13週6日
(CRL45~84mm)
11週0日~13週6日
(CRL45~84mm) 
15週0日~
対象疾患 ・ダウン症
・18トリソミー
・13トリソミー
・ダウン症
・18トリソミー
・13トリソミー
・ダウン症
・18トリソミー
・ダウン症
・18トリソミー
・13トリソミー
・ダウン症
・18トリソミー
・開放性二分脊椎
感度(検出率) 99% 90% 83% 95% 81%
血液 CellfreeDNA PAPP-A
freeーhCG
PAPP-A
freeーhCG
AFP,hCG
uE3,lnhibinA
超音波断層検査 NT、鼻骨
静脈管血流
三尖弁血流
その他の奇形
NTのみ NT、鼻骨
静脈管血流
三尖弁血流
その他の奇形

NIPT
(2025年春頃より
実施開始予定です)

NIPTは、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの可能性について検査します。
妊娠10~18週に採血を行い、血中に浮遊している胎盤由来のDNAを分析し染色体疾患の可能性の高さを判定します。NIPTは3つのトリソミーに関してはその他のスクリーニング検査に比較して精度が高く、妊婦さんの採血で検査ができます。ただし、陽性の結果であった場合、NIPTのみでは確定診断とはなりませんので、絨毛検査や羊水検査を行う必要があります。
また、NIPTだけでは、わからない赤ちゃんの構造の異常もあります。したがって当院ではNIPTご希望の方へも全員、初期超音波検査を行い、NIPTが適切な検査となるかどうか判断させていただきます。

妊娠初期超音波+
コンバインド検査

初期超音波検査と母体血清マーカー測定の組み合わせの検査です。
NIPTと同様、非確定検査です。NIPTよりも精度は劣りますが、より安価に3つのトリソミーのリスクを評価することができます。妊娠11週0日~13週4日までの妊婦さんが検査可能です。母体年齢から計算される一般的な確率に、超音波で計測した胎児の首の後ろのむくみ(NT)および母体の血清マーカーを組み合わせることで今回の妊娠固有のリスクを計算します。

羊水染色体検査

妊娠15週以降に検査が可能で、胎児の染色体異常を診断できます。
羊水中の胎児の細胞を培養し、染色体の数の変化や構造の変化を確認する検査です。NIPTなどでハイリスクとなった方や、超音波スクリーニングで胎児に異常が疑われる場合に診断のために行います。検査の限界や種類については、対象の方に個別でご相談させていただきます。