Column25|
思春期の月経異常(2)アスリートの無月経
2019.08.31
体操部で毎日練習していますが、
今まで順調だった生理が
止まってしまいました。
女性アスリートが練習のしすぎで生理がとまってしまうことはよく経験されることです。運動量の増加、摂取エネルギーの減少、心理的ストレスが相まって視床下部―下垂体系の障害を引き起こし無月経となります。競技の上達のため低体重を維持したまま運動量を増加させる体操、新体操、陸上長距離などで起こりやすいです。
3か月以上の無月経では婦人科受診をお勧めします。低体脂肪率で無月経の女性アスリートでは女性ホルモン(エストロゲン)が低下するため骨密度が下がり疲労骨折のリスクは上昇します。特に思春期のアスリートの無月経には十分な配慮が必要です。思春期は骨密度が最も増加する時期で、ここで高い骨密度を獲得しておくことが将来の骨そしょう症の予防となるからです。
無月経の治療は第一には運動量に見合った摂取エネルギーを食事からとること、あるいは運動量を減らして摂取エネルギーに見合う程度にすることです。運動コーチの理解が得られないことも多いですが、疲労骨折を起こしたら元も子もありません。まず適正な食事や運動メニューの見直しが必要ですが、エストロゲンが低値の場合は早期にエストロゲンを補充するホルモン療法を開始します。
無月経以外でも、競技の妨げになる月経痛、過多月経、貧血の治療、あるいは試合日に向けた月経移動など女性アスリートにとって有用なサポートができる婦人科クリニックをホームドクターとして活用することをお勧めします。