HPVワクチンについて
子宮頸がんとは?
子宮頸がんは子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部位にできるがんで日本では毎年約1.1万人が罹患し約2900人の方が亡くなっています。妊娠中に発見され出産を諦めなければならなくなることもあり、マザーキラーとも呼ばれます。現在の日本の子宮頸がんの9割以上はヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因で、HPVに対するワクチンでがん発症を予防できます。
HPVワクチンは平成25年4月に予防接種法により定期接種化されましたが、接種後に様々な症状が報告されたため平成25年6月から8年間も積極的勧奨が差し控えられていました。その結果日本のHPVワクチン接種率はほとんど0%まで低下しました。その間、日本産婦人科学会はHPVワクチンの有効性と安全性をアピールしワクチン勧奨の早期再開を強く要望していました。そしてやっと令和4年4月から個別勧奨が再開されることとなりました。再開後1年たって接種率は徐々に上昇し令和5年4月からは新しい9価ワクチン(シルガード9)も公費で使用できるようになりました。
HPVワクチンの種類
サーバリックス(2価)、シルガード9(9価)などのワクチンがあります。
以前は公費で使用できるものはサーバリックスなどでしたが、令和5年4月1日よりシルガードも使用可能になりました。令和5年4月1日以降に初回の公費ワクチン接種を当院で受ける方にはシルガード9を使用します。また1、2回目がガーダシルでも希望により残りをシルガード9に変えることもできます。
シルガード9について
HPVには多くの型があり、特に子宮頸がんをおこしやすい16、18、31、33、45、52、58型に加え尖圭コンジローマという病気の原因になる6、11型の合計9つの型に対するワクチンです。子宮頸がんやその前がん病変の予防効果はシルガード9が最も高いです。
シルガード9の副反応について
シルガード9の副反応として、ワクチン接種後に注射した部位が腫れたり痛むことがあります。これは体の中でウイルス感染を防御する仕組みが働いているために起こっており、通常は数日で治まります。症状が長く続く場合はご相談下さい。その他頭痛や発熱が見られることがありますが頻度は低いです。
HPVワクチン接種を
ご希望の方へ
接種対象者
接種日時点で横浜市に住民登録がある、小学校6年生から高校1年生相当の女子。
対象者には横浜市より6月頃に個別に通知が送付されます(小学6年生は翌年3月に通知)。
接種間隔
(シルガード9の場合)
初回接種時の年齢が15歳未満の場合
:2回
- 初回接種
- 初回接種から6か月後
初回接種時の年齢が15歳以上の場合
:3回
- 初回接種
- 初回接種から2か月後
- 初回接種から6か月後
※年齢により接種回数が異なります。
救済措置
(キャッチアップ接種)
について
積極的勧奨が中断されていたことにより接種の機会を逃した方への救済措置として、公費(無料)による接種機会が提供されます。
対象者
- 接種日時点で横浜市に住民登録がある
- 平成9年度生まれ~平成18年度生まれの女子(誕生日が平成9年4月2日~平成19年4月1日)
- 過去にHPVワクチンを合計3回受けていない
実施期間
令和7年3月31日まで
HPVワクチンを
自費で受けた方への
償還払いについて
定期接種期間に接種の機会を逃し、その後自費で接種した方(シルガード9を除く)への払い戻しが可能になりました。
HPVワクチン接種までの流れ
1ご予約
完全予約制です。
2事前の準備
来院前に厚労省発行のリーフレット「HPVワクチンについて知って下さい」(外部リンクへ飛びます)を必ずお読みください。
自費でHPVワクチンを
ご希望の方へ
自費でHPVワクチンをご希望の方へ 公費対象の年齢を過ぎてもHPVワクチンの有効性が証明されています。
自費の場合はシルガード30,000円×3回です。(消費税含む)
3当日
接種後30分程度は待合室で安静にしていただきます。
当日持参するもの
- 母子健康手帳
- 小児医療証(中学3年生まで)
- 保険証
- 診察券(受診歴のある方)
- 接種記録カード(初回時にお渡しします)
- 予診票(届いている方)
※ 18歳未満の方は保護者同伴でお願いします。
※ 接種当日の運動は控えてください。
HPVワクチンの
男性への接種について
HPVは子宮頸がんに留まらず、咽頭がんや肛門がんの発症にも関与していることが確認されています。
昨今の性行動の変化から、HPVが関与する咽頭がんの発症が増えている傾向にあります。そのため、アメリカやカナダ、オーストラリア、フランス、イギリス、ドイツなどでは、男性もHPVワクチン接種が行われています。男性全体への集団免疫確保の観点からも、男性への接種は有効とされています。
当院では、男性へのHPVワクチン接種を実施しております。まだ男性へのワクチン接種において公費対象となっていませんが、一部自治体では助成制度が開始している所もあります。なお、未成年で接種ご希望の方は、保護者同伴でご来院ください。
よくある質問
健康保険は使用できますか?
HPVワクチン接種は自費接種です。自治体の一部では公費助成がある場合がありますので、その場合は予診票をご提出ください。
接種できる年齢は何歳までですか?
HPVワクチン定期接種は、小学校6年生から高校1年生までです。ただ、高校2年生以上でも接種可能です。アメリカでは26歳まで推奨しています。HPVの感染経路は性行為によるため、初めて性交渉するよりも以前に接種するのが非常に大切です。また、性交渉の経験がある場合でも新たなHPV型の感染を予防するのに有効のため、接種を推奨しています。さらに年齢が上の場合でも、接種による効果には個人差があるため、お気軽にご相談ください。
ワクチン1回目または2回目接種の後、次の接種までに期間が空いてしまいました。
この場合はどうすれば良いでしょうか?
期間が空いても初回から打ち直す必要はありません。残った接種回数で行ってください。
接種に悩んでいます。
また、どのHPVワクチンを接種すればいいのか分かりません。
医師に相談できますか?
ご来院いただきましたら、接種の有無やワクチンの種類についてご相談いただけます。
妊娠中や授乳中はワクチン接種できますか?
妊娠中及び授乳中はワクチン接種はできません。接種の途中で妊娠した場合は、出産及び授乳期間を終えた段階で残りの回数を接種してください。
既に感染しているHPVをワクチンで治療できますか?
既に感染しているHPVを排除する効果はワクチンにはありません。ただし、ワクチン含有のウイルスジェノタイプに感染している可能性はほとんどないため、既に感染していても新たなHPV型の感染を予防できます。
HPVワクチンの接種後、子宮頸がん検診は受けた方が良いでしょうか?
子宮頸がん検診は必要です。HPVワクチンを接種しても、完全に子宮頸がんを予防できるわけではないため、20歳以上の方は定期的に子宮頸がん検診を受けるようにしてください。
男性もHPVワクチンを接種できますか?
現在、国内で男性に承認されているワクチンはガーダシル(4価)のみです。また、自治体の一部では男性へのHPVワクチン接種の公費助成を行っていますが、ほとんどの自治体ではまだ自費接種です。当院でも男性への接種を実施しています。